過去の展示レポート
「吉田朗展」

「吉田朗展」 2016.4.18~4.30

CONCEPT・WORKS

吉田朗は主にFRP(ガラス繊維強化プラスチック)にエアブラシでペイントを施した立体作品で、人間や現代社会が抱える問題や矛盾 を風刺的に 表現するアーティストです。

彼の作品はどれも一見親しみやすくポップに見えますが、そこにはいつも観る者をドキリとさせるようなアイロニーが込められています。見かけと中身、表面と 内実の強烈な対比が吉田作品の魅力です。今展では人気作品「ダルマ」シリーズに加え、新作「エビ子供」シリーズも展示致します。

「ダルマ」はギリシャ経済危機の際にニュースなどでもちいられた「バスケットケース(basket case)」という表現からインスピレーションを受けて制作されました。「バスケットケース」は戦場で両腕・両脚を失い担架で運べない兵士を指す言葉が転じて、巨額の財政赤字で苦境に陥いる国を指します。それを福島第一原発事故以降の日本の状況に当てはめたのが「ダルマ」シリーズです。手足のない「バスケットケース」という状態を日本的な「ダルマ」へと形状的にすり替え、さらにその「ダルマ」を溶けていく形態に発展させたことで「手も足も出ない上に溶けてしまっている」という厳しい現代日本の状態を表しています。「ダルマ」シリーズの制作をする一方、吉田氏は2011年の東日本大震災以降、世界が少し変わったような感覚を持つようになりまし た。これまでの想像を超えるような様々な事象が次々と発生し、それらが起きるスピード はどんどん加速するのに反比例するかのように、ひとつひとつの事象の重みは軽くなるというものです。「猛烈なスピードで移りかわっていく世界の中で起こる一つ一つの出来事を直接的に作品化するよりも、『少し変わってしまったような 世界』そのものを表出する方 がより現在の状況を表現できるのでははないか」と考え、これまでの「事象に対する直接的なアイロニー」という手法から、あえて「ナンセン ス、カオティックな状況を作品に持ち込む」という方法で現代性を表現しようと試みるようになりました。その中で生まれたのが新作「エビ子供」シリーズです。

作品そのものの素材や表現手法は統一されていますが、表現の仕方が異なるアーティストの変化が鮮烈にご覧頂ける作品群の展示となります。
(新作約6点を発表予定)

*協力:ユカリアート
*アーティストの活動に関するお問い合わせはユカリアートへお願い致します。
 http://yukari-art.jp/jp E-mail:info@yukari-art.jp

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